埼玉点字図書館では、多くの方に、目の不自由な方のことや点字図書館のことを知っていただきたいと考えています。
ところが図書館の利用者が多くなり、それにともなって様々な仕事が増え、一般の方々に施設内を見学していただくと、大切な利用者への貸出が遅れてしまうようになってきました。
そこで、このページでは点字図書館の様子、学校の図書室や公共図書館との違いなどを説明したいと思います。
点字のことを詳しく知りたい方はインターネットで、全国視覚障害者情報提供施設協会「ひとりで学べるたのしい点字」のホームページをご覧ください。
URL http://www.tenji-naiiv.net/
全国には目の不自由な方(視覚障害者)が、約31万人いるといわれています。
まったく見えない方、見えにくい方、小さい頃から見えない方、大人になって病気や事故で見えにくくなった方など、様々な方がいます。
目の不自由な方は、外出や読書にも不便を感じる方が多いので、点字図書館では、
(1)指で触って読む点字図書や、耳で聞く録音図書を作って、
(2)図書館まで出かけなくても利用できるように郵便で貸し出しています。
日本には、各都道府県に点字図書館(視覚障害者情報提供施設)があります。
さらに、全国の図書館やボランティアが協力して、目の不自由な人が、多くの点字や録音の図書や雑誌を読めるような仕組み「サピエ図書館(ホームページ)」を作っています。
埼玉点字図書館では、館長1名・職員5名・数名の臨時職員のほか、点字や録音ボランティア約50名が協力して点字・録音図書、雑誌を作り、貸し出しやそのほかの仕事をしています。
利用登録者は 約1470名、日常的によく利用される方は 約670名です。(2020年3月現在)
では埼玉点字図書館の仕事について詳しく説明していきましょう。
1.貸し出し
点字図書、録音図書(デイジーCD図書)を貸し出しています。
(2)図書館内の書庫は閉架式で、リクエストのあった図書を職員が棚から取り出す方式です。
リクエスト図書を当館で所蔵していない場合は、視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」などで調べて、全国の点字図書館などから取り寄せて貸し出します。
(3)利用者への貸し出しは、主に郵送でおこなっています。
視覚障害者のかたには点字用郵便(第四種郵便物)で送りますので、送料は無料です。
※視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」とは、視覚障害者をはじめ、目で文字を読むことが困難な方々に対して、様々な情報を点字や音声データで提供するネットワークです。全国視覚障害者情報提供施設協会が運営しています。
※デイジー(DAISY:Digital Accessible Information System)とは、活字による読書が困難な人向けに開発された世界的なデジタル記録の規格システムです。
2.機器貸し出し
デイジーCDを聞くためには専用の機材が必要です。デイジーCD図書を体験していただくために、さまざまなデイジー読書機を貸し出したり、使い方の説明をしています。デイジー図書再生専用機、ポケットサイズの録音再生機を貸し出しています。
3.プライベートサービス
個人的に必要な本や資料の点訳・音訳・対面朗読をおこないます。対面朗読は予約制です。
4.製作
〈点字図書〉
(1)点訳をする図書を選びます。
利用者に様々な分野の図書を提供できるように、全国の点字図書館の製作状況などを見て、他の図書館で製作していないことを確認します。
(2)図書の内容や進行状況などから、担当する点訳者を決めます。
(3)点訳者は、点訳を始める前に図書の下読みをします。
人名・地名などの読み方を調べたりします。
(4)パソコンを使って点訳をします。
点訳をした後に、まず点訳者自身が見直しをします。
(5)点訳の校正をします。
点訳者とは別の2人の職員が、1字1字まちがいがないかチェックします。
修正が必要な場合は点訳者に指示を出します。
(6)点訳者が修正後、職員が再度チェックして、点字データが完成します。
(7)点字データは点字プリンターで印刷します。(右側のパソコンから点字データを送って、左側のプリンターで印刷します。)
バインダーなどに綴じて製本します。書名のラベルやバーコードを付けます。
(8)インターネットの「サピエ図書館」に点字データを登録します。
サピエ図書館の会員は、インターネットを通してデータをダウンロードしたり、オンラインでリクエストを出すことができます。
〈録音図書〉
(1)音訳をする図書を選びます。
利用者に様々な分野の図書を提供できるように、全国の点字図書館の製作状況などを見て、他の図書館で製作していないことを確認します。
(2)図書の内容や進行状況などから、担当する音訳者を決めます。
(3)音訳者は、音訳を始める前に図書の下読みをします。
人名・地名などの読み方を調べたり、アクセントを調べたりします。
(4)音訳(声に出して読み上げ録音)をします。
音訳者は、こまめに聞きかえしをして録音をします。
(5)音訳の校正をします。
録音したものを職員が原稿を見ながらチェックします。
修正が必要な場合は音訳者に指示を出します。
(6)音訳者が修正後、職員が再度チェックして、音訳データが完成します。
(7)音訳データは、パソコンを使ってデイジー形式に編集します。
デイジーに編集する時に、見出しやページなどを付けて、聞きたい部分がすぐ再生できたり、頭出しができるようにします。
編集のチェック後、貸し出し用のCDを作り、ケースに書名ラベルやバーコードを付けます。
(8)インターネットの「サピエ図書館」に、デイジー形式に編集したデータを登録します。
サピエ図書館の会員は、インターネットを通してデータをダウンロードしたり、オンラインでリクエストを出すことができます。
目の不自由な方で、まだ点字図書館のことを知らない方がいらしたら、こういう図書館があることをお話ししてあげてください。